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特集
ローン・サバイバー
ローン・サバイバー(原題:LoneSurvivor)とは、2014年公開のアメリカ映画。日本では3月に公開されました。
2005年6月27日 SEALs 11名、ナイトストーカーズ8名というSEAL史上最悪の死傷者を出した、「オペレーション・レッドウィングス」の唯一の生還者マーカス・ラトレルの同名の手記「ローン・サバイバー」を基に制作され、2つのアカデミーノミネート、約1億5千万ドルの興行収入を得たヒット作です。
※似た作戦名に「オペレーション・レッドウィング」がありますが、それはアメリカの核実験オペレーションの名前なので、混同を避けるためレッドウィング「ス」と表記します。

冒頭や序盤からSEAL隊員の固く結ばれた仲間意識がクローズアップされており、本編では絶望的な状況の中、最期まで諦めず仲間を庇い続けるSEALSDVT-1隊員の死闘、死を賭してまで救助に向かう隊員など、その絆の強さに心を打たれます。映画の内容以外でも、中盤からは息つく間も無い濃密で過酷な戦闘シーンの連続で、多くのミリタリーファンを魅了する仕上がりになっています。
この特集では映画本編についてではなく、劇中に登場する装備に焦点を当ててみようと思います。
RAID MOD ユニフォーム
SEALの迷彩といえば今となってはAOR1/AOR2がすっかり定着し、映画やゲームでも当たり前のように登場しています。
AOR迷彩が登場したのはこのレッドウィングス作戦の後、2000年後半になってからなので、当時のアフガンに駐留する米軍は3カラーデザート迷彩 (DCU)と呼ばれる、昔ながらの迷彩パターンを使用していました。ウッドランドも現役であったため、劇中では2名がウッドランドのジャケットにタクティカルパンツの組み合わせでした。実際でもウッドランドのBDUが使用されました。

注目したいのが、腕にポケットが有り、ベルクロパッチを腕に貼り付けているということ。 SEAL隊員はBDU (DCU)を着用していますが、この時代の特殊部隊ではRAID Modified (MOD)と呼ばれる、通常のDCUをカスタムした特殊なDCUを使用しています。
通常のDCUはベルクロを採用しておらず、パッチやネームタグなどは直接縫い付けている昔ながらのスタイル。現在採用されている米軍ユニフォーム(ACU)は腕にポケットとベルクロシートを備えているのが常識ですが、当時はそれが最新のカスタムでした。


RAIDMODも数多の種類があり、時代や部隊によってベルクロの位置、数、色までも異なります。SEALではある程度定番と言えるNAVYカスタムを施しています。特徴は以下の通り。
- 両方の肩と腕にデザートカラーのシートが配置されていること
- 腕ポケットの蓋にはシートがない
- ポケットに大きめの1枚のシート、またはパッチ幅の2枚のベルクロシートが並んで配置されている


しかしながら、実際のオペレーション・レッドウィングスに参加した隊員は、肩のベルクロシートが無いバージョンも使っている写真が残っているため、NAVYカスタムのRAID MODはこのベルクロ配置でなければならないというルールはありません。

(左) マイケル・マーフィー (右)"アクス" マシュー・アクセルソン(RIP)

基本的には肩のベルクロがない仕様を採用していたようです。写真のマーカス・ラトレルのように、単色のタクティカルユニフォームも、当時のSEALで多く使われていました。必ずしも全員が型にはまった装備では無いところが、今も昔も特殊部隊装備の悩ましいポイントであり魅力の一つです。
以下はSEAL以外の様々なRAID MODの使用例です。



ローデシアン・リコン・ベスト(Eagle Industries MLCS RRV)
話の主要人物となる4名のSEALsは偵察部隊として、先発して敵地に潜入を試みました。そのため劇中では、CIRASのような戦闘ありきの重装備ではなく、Eagleのローデシアン・リコン・ベスト(以下RRV)という軽量のベストを使用しています。
RRVは軽量で動きやすい/持ち運びやすいデザインになっているほか、フロント部分のMOLLE面積が広く、十分な拡張性をもつ優秀なベストです。当時のSEALでもRRVを装備している隊員のミリフォトが多く残っています。当店でも根強い人気のある定番のベストです。

RRVを着用したマーカス役のマーク・ウォールバーグ
劇中で登場するポーチは
- M4 ダブルマガジンポーチ
- フラッシュライトポーチ付きアドミンポーチ
- MBITRPRCラジオポーチ
- キャンティーンポーチ
- ハンドガンマガジンポーチ
- フラググレネードポーチ
など、スタンダードなセットアップになっています。
RRVの背中のハーネスは通常X型に装着するものですが、H型にも使用できるよう設計されています。劇中でもRRVをHハーネスの型で着用していますので、ここは是非マネたいポイントです。


With チェストリグ
その他に今も昔もチェストリグが汎用性の高い装備として、米軍の特殊部隊では使用されています。レッドウイングス作戦の時代では、上記のRRVやPACAソフトアーマーと LBT-1961A や LBT-1879などのチェストリグを併用するパターンも、定番と言われる組み合わせです。

ユニフォームはカスタムされた単色のフィールドジャケット
小物類
ここでは4人のSEALsが劇中で装備していた小物を中心に紹介します。オペレーション・レッドウィングスに従事したSEAL隊員の写真は多数公開されていることもあり、装備について十分リサーチした印象を受けます。年代のズレ等の多少の違いはあれど、映画と考えれば大きな違和感を感じることはありません。

劇中に登場する隊員の装備は、この当時のSEAL装備ではスタンダードなものでまとまっています。設定が偵察中ということなので、軽装であるのも重要なポイントです。また、状況を考えるとローン・サバイバー装備の再現には、汚しとダメージ加工が必須とも言えます。
この写真で使用されている胸と左腕のパッチはテキサスの州旗 "The Lone Star" デザートカラーパッチとオリーブカラーのIR星条旗パッチを使用しています。



劇中では全員が使用しています。

ウッドランドカラーは旧型デザインを使用しています。アイウェアには米軍特殊部隊御用達 GATORZ製 MAGNUMを採用。
4人共通で使えるローン・サバイバー装備
- Mechanix Wear オリジナルグローブ
- US アメリカ国旗 IR パッチ オリーブ 左星
- TEAタイプ PTTマイクスイッチ icom/KENWOOD用レプリカ
- SOGタイプ M37 SEAL PUPナイフ ダミー
- ADVENTUREタイプ VIPライト IR LEDストロボレプリカ
- North American Rescueタイプ CATCombatApplicationTourniquet 止血帯 ダミー
- Omega Pacific D型 スクリューロック ミリタリーカラビナ31kN
- US エアサポートリクエスト インストラクションストックステッカー レプリカ

メディア
映画『ローン・サバイバー』予告
映画『ローン・サバイバー』特別映像 ―リアル・ヒーロー
映画『ローン・サバイバー』 マーカス・ラトレル 緊急来日トークショー映像 ※ネタバレ含む
装備特集
装備特集 Vol. 1 “ローン・サバイバー”
装備特集 Vol. 2“アメリカン・スナイパー”
装備特集 Vol. 3 “13時間”
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